友がみな我より偉く見ゆる日

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『夜の来訪者』 怒涛の展開、突き落とす結末、鮮やかすぎる。

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プリーストリーの『夜の来訪者』。小説ではなく、舞台劇を文字に起こしたものです。

普通ならまず手に取らない本ですが、尊敬する友人が絶賛していたので読んでみました。

 

なるほど、確かにすごかった。

 

舞台となるのはバーリング家。実業家の家庭で、裕福で幸せな一家です。まさに今、娘の婚約祝いをしているところ。

そこにグール警部と名乗る男が現れ、ある貧しい若い女性が自殺したことを告げます。当初、バーリング一家は一顧だにしませんが、彼ら全員が女性の死に関わっていることがグール警部によって明らかにされていきます。

このバーリング一家が絶妙にいけ好かないんですよね。鼻もちならないやつらでうぜえなと思ってたら、グール警部が彼らを糾弾していく。彼は質問という形でバーリングどもから証言を引き出しますが、何やらすべての真実を最初から知っているかのよう。言い訳を許さない聴取によって、物語は急速に展開していきます。

グール警部が現れ、尋問が始まる第一幕。全員と女性との関係が明らかになり、死の真相が明かされる第二幕。ここまでで既に面白くてすっかり引き込まれていたんですが、この物語にはさらに続きがあります。ここまでのすべてがひっくり返される第三幕。

 

当然詳しくは書きませんが、最後の1ページを読んだときには「うわっ」と声に出てしまいました。風刺の効いたぞっとするようなラストです。

 

これらが150ページに収められているのがまたすげえ。台本形式な上にセリフしかないので、同じ分量の小説よりずっと簡単に読めると思います。

本読まない人でも、一回は読む価値がある。

 

薦めてくれた(わけではないけど、絶賛してくれた)友人に感謝。

 

 

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)