本と山と東大生

理系東大院生の読書日記とそのほかいろいろ

米澤穂信『王とサーカス』

久しぶりに読んだ本について書きます。

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『王とサーカス』。

 

いやー、面白かった。

久しぶりに一気に読んでしまいました。

 

ミステリなのでネタバレしないように書きますが、事件のトリックという点ではそこまで驚嘆するようなものではないんですね。よくできてるなぁとは思ったけど、トリックの意外性という点では米澤穂信さんの他の作品にももっとすごいものが会ったと思います。

ただ、事件にまつわる背景、動機、凶器、方法、そういったものを1つ1つ解きほぐしていく過程が素晴らしい。カトマンズの町並みや出会う人々の中に、細かな伏線が丁寧に散りばめられてる。主人公であるジャーナリストの太刀洗万智による取材活動の中で少しずつ真実に迫っていく様がスリリングで気持ちいい。

 

また、この作品はミステリであると同時に、万智の仕事との向き合い方を描いた話でもあります。記者として、なぜ知るのか、なぜ報じるのか。そして、何を書き、何を書かず、どのように広めるべきなのか。一連の事件を通じて、ジャーナリズムのあり方を自らに問うていくことこそが、この物語の本筋であるように思えます。

このテーマは、『真実の10メートル手前』でも書かれているのでこちらも必読です。

刊行順としては『王とサーカス』のほうが先ですが、僕は『真実の10メートル手前』から読んでしまいました。米澤穂信の新刊を見つけて読みたくなってしまったので。

さらに言えば、太刀洗万智の初登場は『さよなら妖精』なんですが、これはまだ読んでません。読まなければ。

まあ、1つ1つが独立しているので、どれから読んでも差し支えはなさそうです。

 

米澤穂信さんの作品はどれも安定して面白い。というような話を友達としていたら、「小市民」シリーズはいまいちだと言われました。『春期限定〜』とかのやつ。次に読もうかと思っていたけれど、後回しにしようと思います。

 

これの次に竹宮ゆゆこさんの『応えろ生きてる星』も読んだので気が向けば感想書きます。こっちもかなりよかった。

 

おわり。

 

 

王とサーカス (創元推理文庫)

王とサーカス (創元推理文庫)